イマドキ女子高生が根深い社会問題に向き合う
「BNA(ビーエヌエー)」(TRIGGER)(※ネタバレ有)

突然ですが、猫耳犬耳、獣人ってかわいくて大好きです。(笑)

そんなこんなで、本日は「BNA」という私の大好きなTRIGGER制作アニメの感想を書いていきますね。

獣人が好きなので獣人×TRIGGERと聞いて心躍ったアニメで、案の定私は大好きな作品なのですが、時期的なものやテーマなど、いろいろ複雑に絡み合ってそれほど話題にはならなかったのかなーと思っています。

もし見た方がいれば、是非語りたい、としてもっとこの作品が知られてほしい(笑)

BNA(ビーエヌエー)あらすじ

引用:https://bna-anime.com/sp/

獣人が差別を逃れて暮らせるアニマシティに、人間から突然獣人になってしまった女子高生みちるがやってきます。

みちるは、優れた嗅覚と戦闘力で市長や警察の支援活躍を行うオオカミ獣人の士郎と行動します。

そんな中、アニマシティに獣人カルト教団「銀狼教団」が訪れます。

古くから獣人を守ってきた「銀狼」の正体が親友なずなであることに驚いたみちるでしたが、彼女はフリだけで、本物の銀狼は士郎だったのです。

その後、製薬会社のアラン会長から、獣人が密集することで発生する獣因子暴走症候群という病気の存在が明かされ、みちる達の獣人化は、この病気の抗体開発中の医療ミスが原因と知ります。

この抗体は暴走を抑える代償に獣人を人間にする副作用があります。

獣人を救いたいと言うアランですが、人間を恨む士郎はこれに反発します。

抗体完成までの期間、発症緩和のためになずなとみちるを協力させるアランですが、彼の真の目的は、長年一つの獣性を守ってきた自分達が真の獣人であるという誇りを守ることでした。

アニマシティ壊滅を察知したみちる達は、獣人と協力し獣人の暴走阻止に奔走します。

そして士郎はアランを打ち破り、アニマシティの平和は守られました。

BNA(ビーエヌエー)感想

12話構成のアニメですが、TRIGGERらしいどんでん返しで、最後はみんなで一つの目的にむけて突撃してゆく!という流れが痛快で最後まで勢いが衰えませんでした。

また、このアニメは、私たちと酷似した世界の中で、人間という種族と、動物に変身できる獣人という種族がいるという世界観で描かれており、一貫して「人種差別」「偏見」「男女差別」「貧困問題」などを軸に描かれたものになっています。

可愛い絵柄やアメコミっぽくポップな配色とは対照的に描くテーマが重くて辛辣なのです。

そんな人間にとって普遍的ともいえるテーマをおしゃれに表現している素晴らしい作品の、特に好きなポイントを以下にまとめました。

ストーリーを通して、イマドキなJKが、ややこしい社会問題や老骨に物申す痛快さ このアニメの面白いところは、各話で私たちの世界に獣人が存在していたら、という状況を大変リアルに描いており、その上でみちるやなずなが、言葉使いは女子高生ですがわりと本質を突いた意見をぶっとばしてくる痛快さだと思っています(笑)

このアニメを見る度に、私もいい年になってきたので、くだらない大人のプライドとか偏見もっちゃったなーとか思って反省します(笑) 主人公は天真爛漫なバスケ女子のみちる、そのバディは不愛想でちょっと時代錯誤な偏見や価値観を持つ正義漢の士郎です。

この二人が最初は相いれないのですが、みちるは人間と獣人の経験を通して、差別や偏見、人権問題といった社会問題を自分の中で咀嚼して答えをだしてゆきます。

そして士郎も、銀狼として長年生きた中での人間への悪感情を改めて冷静になり、獣人の特性を再認識したり、自分の思いを正しく発信して思い込みや偏見を解きほぐしていきます。

若くて柔軟な女子高生と、長生きして人生経験豊富なおっさんが分かりあい、最後はかけがえのない仲間になってゆくのです。

また、みちるやなずな、ニナなどのなんともイマドキなJKな感じの喋り方がリアルで、にも関わらず、種族の差別や男女差別といった普遍的な問題に自分たちなりの意見を述べるのが、 なんともギャップがあって、若者の柔軟性のようなものを表現しているようでなんか気持ちいいんですよね。

各話ではいろいろな社会問題を織り交ぜて表現してありました。

2話で、力の強いものが強者であるという自然界の雰囲気を残したアニマシティは、ちょっと昔の日本の女尊男卑のような雰囲気をもっており、女性だけのギャングの存在はそれを表現していました。

4話では、ニナが獣人であることを隠してSNSを使っており、パーティでみんなから差別されることなく脚光を浴びるも、獣人=動物という誤った解釈で事故に遭いそうになりました。

これは、見た目で差別を無くしても、きちんと互いを理解しなければ分かり合えないというメッセージが込められているようでした。

5話では賭博野球が当たり前のアニマシティが描かれ、貧困問題や経済格差が色濃くあり、アニマシティがまだまだ発展途上の街で、秩序もリテラシーもどこか先進国よりは幼い様が表現されていましたね。

貧乏から脱却するために八百長に手を染めていたベアーズに対してみちるが一喝するシーンは胸打たれるものがあり、実際に作中でも真っ向勝負のスポーツ対決をするベアーズの試合は街中が歓喜して注目しましたね。

差別によって夢破れた監督が賭博から脱却するシーンは感動せずにはいられません。(笑) 7話のワタリアホウドリ獣人ピンガのエピソードは、人間と同じ基準で獣人に権利を与えても、必ずしも不自由なく暮らせるとは限らないという難しい問題でした。

私個人の解釈ですが、この回はマジョリティ(多数派)の意見ばかりを制度として反映しても、必ずそこからこぼれ落ちてしまうマイノリティ(少数派)がいるという社会問題が表現されていたのだと思います。

個人的にそんな不条理と戦うダークヒーローであり、最後に仲間の墓を建てほしいとドックタグ(軍人の個人識別票)をみちるに託す心優しいピンガがめちゃくちゃイケててカッコイイです(笑)

また、あの聡明な市長も、実は獣人体実験施設の被害者でまさかの可愛いペットのクロも被害者だったというエピソード。

市長は獣人も人間も知りたいと勉強して遺伝子分野で獣人初の博士号をとるという、まさに獣人の革命家のような存在で、これも差別や偏見と闘う女性としての市長を伺い知れました。

そして士郎もまた、銀狼という神秘的存在として描かれるも、戦争被害者という心の傷を負って、復讐や憎悪にとらわれてしまった悲しい存在として描かれていましたね。

そして、最後のほうは、実はアランも獣人であったというどんでん返しでした。

しかし、彼が実は一番獣人という誇り高い種族を守りたい!自分たちこそが神!という最も偏った思想の持主でしたね。(笑)

俺たちは優れた種族だからそんな雑種がかかる病気にはかからないぜ、と言っていたのに最後にがっつり発症しました・・。

純潔を重んじる文化は世界各所にあり、某世界的名作の魔法使いファンタジー映画でもそんな問題が表現されていますが、そこに過度に偏って価値観が歪んでしまったアランへの皮肉のようにも感じます。

色々な社会問題を取り上げたBNAですが 最終回で、みちるがアランに放ったセリフがこのアニメのアンサーであり、私のお気に入りのセリフです。 アラン(ゴリラの腕に変身したみちるに対して) 「女の子がそんな腕になるなんて美しくないなあ。君は人間なんだからとっとと人間にもどって普通に暮らせばいいじゃないか」 みちる 「女の子とか獣人とか人間とか、そういうのもう、ほんっとどーでもいい!

何が普通かは自分で決めるし、どう生きるかも、何が美しいかも自分で決める! 人間になりたい獣人がいるなら人間になればいい! でも、選ぶ権利を奪うあなたのやり方は、マジで!ほんとに!!キモいから!!!」

このセリフが別に難しい言葉なんて何も使っていないのに正論で痛快です。(笑)

こういった問題はなくならないですが、アニメやサブカルを通して問題提起してくれる作品をこれらもアニメファンとして大切にしていきたいものです。

今回は、「BNA」についてでした。 今回の記事を読んで「もう一回見直したい」「久しぶりに見ようかな」「友達にすすめてみよう」と思っていただけたなら幸いです(笑)

 

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